過食が起きる原因はストレスや自己肯定感の低さなどが考えられます。その理由や原因は個人差があるため明確には言えませんが、どのような原因で過食が起きるのかを知っておくことは治療をするうえでも重要です。
そこで今回は、過食の主な原因や治療方法について詳しく解説していきます。過食を食い止めるために自分でできることも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
過食とは
過食を伴う摂食障害には次の2種類があります。
食物依存症
食べることをコントロールできなくなる症状です。「過食性障害」とも呼ばれます。食べることをやめたいと思っていても、やめることができません。強迫的な過食とも言えます。食後に嘔吐はしません。基本的には「むちゃ食い」「ドカ食い」の類です。
次のような傾向がある場合には、食物依存症を疑った方がいいでしょう。
・食事の速度が早い
・不快なほど満腹になるまで食べる
・過食後の罪悪感で落ち込む
・空腹感がないのに大量に食べる
・精神的な苦痛を感じている
・3か月以上過食が繰り返されている
なお、食物依存症の発症は若い人に限りません。性差もなく、男女ともに2%程度が発症するとされています。
神経性過敏症
神経性過敏症は、体重増加を防ぐための代償行為が起こります。具体的には、体重増加の恐怖による嘔吐や下剤の服用などです。食事をコントロールできないのは食物依存と変わりません。
次のような傾向がある場合には、神経性過敏症を疑った方がいいでしょう。
・不快なほど満腹になるまで食べる
・過食後の罪悪感で落ち込む
・精神的な苦痛を感
・空腹感がないのに大量に食べる
・体重増加を防ぐための嘔吐や下剤の利用などを繰り返す
・自己評価に対する体形と体重の割合が高い
・過食や代償行動が3か月以上繰り返されている
神経性過食症は、10〜30代の若い女性に多い過食です。発症のピークは10代後半とされています。
過食の主な原因
過食の原因はさまざまですが、代表的な原因としてはストレスが挙げられます。イライラや不安感などが大きくなるほど食事量が増える人もいます。ただし、すべての人が過食になるわけではありません。ストレスによる影響には個人差があります。
太りすぎを気にする精神的な問題も、過食の原因となることがあります。とくに10代は自己評価が体重や体型に大きな影響を受けているため、肥満への恐怖が強く摂食障害を起こしやすいという特徴があります。また、過食を止まらなくなると無力感が強くなったり、嘔吐後には自己嫌悪感が高まったりします。
発症リスク要因としては、幼少期の虐待や自己肯定感の低下、完璧主義などが考えられています。ただし、このような人が全員過食になるわけではありません。
どのような環境であろうと、また、どのような性格であろうと、過食になる人とならない人がいるのです。そのため、複合的な原因を考えたうえで適切に対応する必要があります。
過食を止める方法
過食を抑えるには「過食をやめることができる」と自信を持つことが重要になります。自信はモチベーションにつながるため、目標を達成しやすくなるのです。過食の原因がストレスの場合は、そのストレスを取り除くようにするのも、ひとつの方法でしょう。
日常生活においては「過食の頻度が減ったら自分をほめる」「体重や容姿を自己評価の中心にしない」などの努力をしていきます。何か新しい趣味や活動などを探してみるのも効果的です。
どうしても物を食べたくなったときには、次のような方法で対応してみましょう。
・時間をかけてゆっくり食べる
・空腹を感じたら歯を磨く
・チューインガムを噛む
・水や炭酸水を飲む
・散歩をする
・運動をする
・音楽を聞く
・ストレッチを行う
・シャワーを浴びる
など
ただし、気持ちや考え方で過食が治るほど簡単な話ではありません。自分だけで解決できない場合は、専門医の受診が不可欠です。専門医を受診すれば、心理療法によって過食衝動を抑えられるようになります。
それでも効果がない場合には、薬物治療という方法があります。過食に有効な治療薬は「セルトラリン」や「トピラマート」です。食欲抑制剤のマジンドールを使うこともあります。
一般的には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を使います。先ほど挙げた薬で言うと「セルトラリン」です。この薬は過食の頻度を下げ、排出行動を抑える効果があります。なお、セルトラリンは8〜12週間継続すれば効果が期待できます。
ただし、過食は再発しやすい症状なので、心理的な治療と薬を併用して中長期的に取り組むことが何よりも重要です。
まとめ
過食の主な原因には「食物依存症」と「神経性過敏症」があります。どちらも食事をコントロールできなくなりますが、神経性過敏症は嘔吐や薬物乱用などを繰り返すために危険度が高くなります。
過食で悩んでいるという人は、症状が悪化する前に専門家に相談して、適切な治療を受けるようにしましょう。