過食が起こる理由や原因はさまざまです。人によっても原因が異なるため、専門医を受診して適切な方法で対処しなければいけません。
なお、過食の治し方には心理療法と薬物療法があります。どちらも専門医で受診することが可能です。迷っている人は気軽に相談してみましょう。
過食になる理由とは
過食は、さまざまなストレスから一時的に逃れるために起こるとされています。ストレスが溜まると神経物質「ノルアドレナリン」が増加するため、過食の欲求を刺激するのです。しかし、その一方で感情をコントロールする神経物質「セロトニン」が減少し、食欲を抑えられなくなるとされています。
ダイエットの反動で過食になる人もいます。ダイエットは時間をかけて行なうの鉄則ですが、短期間での急激なダイエットは過食とリバウンドにつながる可能性が高くなります。
このほかにも、精神的なさまざまな問題で過食になることがあります。ただし、そのような経験があれば必ず過食になるわけではありません。過食の原因や理由、過食になるかどうかについては個人差が大きいと考えていいでしょう。
過食と疾患
過食と併発しやすい疾患も確認しておきましょう。もっとも多い疾患は「うつ病」です。中でも、自己否定が原因で過食になってしまった人は、うつになる傾向が高いとされています。なお、非定型うつ病は、その症状として過食が起こることもあります。
精神面では不安障害を併発することも少なくありません。不安障害が併発すると、過食だけではなくアルコールの乱用・依存に発展することもあります。このような状態になってしまうと治療するのは困難です。
過食によって下剤の乱用や自己誘発性嘔吐を繰り返したときには、低カリウム血症になることがあります。低カリウム血症は心拍に悪影響を及ぼすため、心臓が止まって死に至ることもあります。
このように、過食はさまざまな疾患を併発することがあるので、甘く考えないようにすることが大切です。
なお、疾患の症状として過食が見られることもあります。どちらが原因でどちらが症状なのかは判断が難しいため、過食に悩んでいる人は必ず専門医の診断を受けましょう。安易に判断して対応すると命を落とす危険があるので、絶対に避けてください。
過食の治し方
過食の治し方には、主に「心理療法」と「薬物療法」があります。
心理療法
心理的・精神的な面から治療を行なう方法です。主な方法としては「認知行動療法」があります。認知行動療法は、自分の考え方や行動を見直し、自分の力で不安症状をコントロールできるようにする方法です。医師やカウンセラーの指導のもとで、不安症状を落ち着かせるトレーニングも行います。
過食を抑えるには「自分は過食をやめられる」と自信を持つことも重要です。自信はモチベーションにつながるため、目標を達成しやすくなります。
なお、心理的な治療の効果には個人差があり、適切に行わなければ逆に危険な状態に陥ることもあるので、必ず専門医の判断を仰ぐようにしましょう。
薬物療法
薬を使って治療をする方法です。過食を抑える有効な治療薬としては「セルトラリン」や「トピラマート」などがあります。
近年では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を使うのが一般的です。この薬は過食の頻度を下げて嘔吐などの排出行動を抑える効果があります。通常であれば、SSRIを8〜12週間継続すれば効果が期待できます。
過食症の予後
長期的な予後は不明確ですが、心理療法や薬物療法によって半数程度の人は過食衝動を抑えられるとされています。しかし、10〜20%程度は症状が続くとされています。
若年で発症したり、発症してから治療を開始するまでの期間が短かったりする場合は予後が良いとされています。逆に、本人の改善意欲が低く、肥満の既往歴や境界性パーソナリティ障害を合併しているケースは予後が悪いとされます。
いずれにしても、本気で過食を治したいと考えているのであれば、中長期的な治療を考える必要があるでしょう。過食は数日や数週間で治るものではありません。そのため、本人だけでなく、家族や身近な人の理解を得ながら治療を続けられるようにする必要があります。
もっとも効果が高いのは薬物治療ですが、薬に抵抗があるという人は、カウンセリングから始めることも可能です。
まとめ
過食は、気持ちや考え方で治るほど簡単なものではありません。また、過食が起きる理由や原因は人によって異なります。
そのため、各人に適した治療法で適切な期間処置をしなければ治すことができません。解決が難しい場合は、ひとりで悩まずに専門医を受診しましょう。専門医を受診すれば、心理療法や薬物療法によって安全に改善へと導いてくれます。